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手嶋堵庵の前訓

 前訓は、男子は七~十五歳、女子は七~十二歳までの子どもたちに「行儀作法よろしく御成り候ため」の教えで、 手嶋堵庵(てしまとあん)が講釈しました。前訓は口教一から四、女子口教からなり、 日常の行儀作法を読み聞かせる内容となっています。

 前訓に出席する者へ次の箇条が定められています。
一、講釈日は、毎月三日、十三日、二十三日、八つ時で、席はそのつど案内します。
一、男女とも衣服は寺子屋やお稽古事に行く時の普段着のままで結構です(羽織着用は無用)。
一、聴衆の席は男女別、女性の席はすだれを掛けますので遠慮なくおいでください。
一、参加費や贈り物、謝礼は一切受け取りません。
一、教室では騒いだりふざけたりしてはいけません。出入りも静かにしてください。何事にも神妙を心掛けてください。
一、火の用心を心掛けてください。

手嶋堵庵(てしまとあん)

 江戸時代中期の石門心学者。通称は近江屋源右衛門。京都の商家に生まれ, 父宗義の薫陶(くんとう)を受け,十八歳で石門心学の祖である石田梅岩の門に入り, 後継者となって心学二世と呼ばれている。平易な言葉で師説を祖述し, 心学講舎の制をたてて,教化の普及に尽くした。
 教説の簡易化と普及を意図し,京都に心学舎の明倫舎を建設した。著書は二十種に及ぶ。 また幼児教育にも努め,子供に心学道話を説く《男子女子前訓》という手引書も著している。

原文





解読文

一前訓と申ハ御男子七才ゟ十五歳まて御女子七才ゟ十二歳まて右の年に相應の
 御おしへを手嶋先生御講尺にて御幼稚様方御行作よろしく御成候為の
 御おしへに御座候間無縁の御かたも御望の御かた御小児様方御遠慮なく御遣し
 可被遊候

一御講尺定日三日十三日二十三日八ツ時 但し席之義其節々御案内申候

一衣ふく男女とも手習謡ぬいものなとに御出の通ふだんていにて不苦候御はをりに及不申候

一聴衆の席ハ男女間をへだて女中の席にハすたれをかけ置申候間御遠慮なく御出可被成候

一席料音物謝礼一切うけ不申候

一御されあひ御無用出入しづかになされ御ちいさきを御いたわり先へ御つめあひ随分神妙に被成可被下候

一火の用心御頼申候以上                  発起人


(本文は省略する)


 男女の童子口教の趣ハ先幼稚の時より常理を

 心に納得し末々成人の後たよりとも成へき品の

 急務ををしゆ嬰児の身なれバ事多くてハ覚へ

 かたく勉がたかるべし故に甚切近なる節用を少しく

 述て小学に入の階梯ともなれかしと思ふのミ



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