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日光山道中記

  

    太平山     五
    岩舩山  天保十四稔
    出流山   辰六月吉祥
    尾鏨山  道中記
    石裂山
    古峯ケ原
    日光山    大□□平

 記載されたこれらの山々は参詣地で下野国の山岳信仰として名高い名刹です。
 大平山(おおひら山)は栃木市と下都賀郡大平町の境にある山で、 元治元年水戸天狗党の藤田小四郎が立てこもった地として知られています。 尾鏨山、石裂山はいずれも「おざく山」と読み、鹿沼市にある同一の山の名ですが、 南麓では尾鏨山、東北麓では石裂山と書き記され、それぞれを信仰の対象とする神社があります。 古峯(ふるみね)ケ原は日光を開山した勝道上人の修行の場であったのでこの縁起にもとづき、 日光全山の僧坊達は、ここで修行を行うようになったといわれています。

 前半は旅の行程、後半は使った費用が書かれています。中程に「断書」として、 「極難渋」した道があり、以後ここを通るときは日程を考える必要があることを述べています。 一行は八名と思われる記述がありますが、どういう一行なのかは分かりません。 行程は表紙に記載された順ですが、初めに記載された地名は「大寶」、 最終地は「北條町」とあり、出発地はこの両者の近く、下野国内と思われます。 日付の始めは七月十八日、終りは七月廿四日になっているので、表紙の六月とはズレがあります。 費用の総額は四貫五百八拾九文と銀六朱八分でありました。

原文

 

解読文

  目出度始             一土當村 小山町 栃木江 
一大寶ゟ 大木村                       三里 
一最田村 舩生村           一思川渡 賃拾六文
一緒川村 舩玉村           一笠木村 卒嶋村
一久保田村渡 栃木江         一樋ノ口村 城内村
        六里         栃木ゟ太平山江三拾丁
一小森村 小花村           片柳村 平井村
一結城町 小田林村          太平山ゟ岩舩山江弐里余
一犬塚村 同新田


原文

 

解読文

一山田村 大中寺村と申候に      一出流山ゟ尾鏨山江六里
       大寺有          山越ニ而桛三ツ有山沢川有
一立花村 白岩村            誠に極難渋の處也
一就寺菓村               長野井村 粕尾村
一岩舩山ゟ出流山迠弐里半        栗野村  尾鏨山
一三谷村 小錦寺村              駒木野口斉藤壱岐守泊
一藤坂桛 葛生町              右坂上り大杦有
一元常寺村 仙波村               廻り五丈八尺あり
一はね□る桛                    四五丁上り
                           こり場あり

原文

 

解読文

右御本地大日如来             是より神尤江下る
 右山参詣後少し下り               古峯ケ原渡道
    中途に茶やあり        一佐日村桛へ然細道也
  右茶やゟ登り両山境也        桛合七ツ有此内賀越
 是より月山江拾八丁登         六ケ所
月山大権現 月渓尊             是迠桛三里
是より下り少し上り                 大芦村
石裂山大権現                是より古峯ケ原江三拾丁
  御本地大日如来                左江登
  右山                        原山村
 劔峯十六夜愛善明王             古峯ケ原御師
                      是より日光中禅寺欠越

原文

 

解読文

右江登弐三町行之棒杭あり       是ゟ右江登り壱丁程行之
是ゟ中禅寺江欠越無用と有之       追分あり左の方中禅寺欠越
候得共不構右江行へし          桛七ツ有池の端江下る
   是ゟ段々桛え□□         端相渡向江行是ゟ左江行
上に出張茶や有是迠桛四ツあり            中禅寺
   此内賀渡四ツ有         古峯ケ原ゟ中禅寺五里半
  誠に極難渋の場所に候                  原道也
 是より桛四ツ有           坂東拾八番札所
  高崎海道江出茶屋有          観世音菩薩
   此茶屋杦道           左の方
 あ□やあり               □□裳

原文

 

解読文

右の方                    茶屋六軒有
  御拝殿              御山御参詣七月七日一日也
後に三社大権現宮あり             七月の行にて上る也
      三重の塔□に       日光山ゟ今市迠三里
      鐘楼堂有          次に馬俤茶屋七八軒有
 上り口護摩壇あり           清瀧村大日如来
御山奥院                 是は泉水築山城境山也
  男躰大権現より三里拾弐丁     日光山ゟ
   庵祠鳥居あり           右日光山は噺より大氣な
  通行房あり             御普請所誠に難有處也
   こりごや何軒も         是ゟ今市迠弐里
       数しれす

原文

 

解読文

一躰石町在 七里村          毛賀町江五里途中に
 野口村  瀬川村                渡場あり
一今市宿泊               是は原道也
 森友村  水無村          毛賀町 かとや直七様泊
 大室村  大壜村             宇都宮より入口
 徳治郎町 上中下          是より小栗休八幡宮江掛
        三町續        宮後村  上大嶋町
 野沢村  宇都宮ゟ         又ゟ北條町

原文

 

解読文

、     断書
右尾鏨山参詣の儀は          右は扣の通り極難渋の
某共は此扣の通り           處にて御座候得は相断
歩行致候得共古峯ケ          奉申上候若し欠越致度
原ゟ中禅寺江欠越は                   候へは
致間舗者也尤古峯ケ          古峯ケ原にて日高に候はは
原御佛ゟ弐三丁行           格別日下に候得は御佛江
候得は棒杭も有之           泊早朝ゟ欠越可被成候
       候へは         右の段相断申候

原文

 

解読文

  日記小遣覚            一五拾八文   浄代
七月十八日出               〃九日
一大寶中食              一百四拾三文  小遣中食
  煮しめ拾弐文                   賽銭札料
 外に賽銭渡場賃           一拾八文    鞋代
   四拾壱文            出流山宿泊
  にしめ                佐橋清右衛門泊
    拾六文            一百七拾弐文  泊賃
一小山宿泊銭             一百六拾八文  山役銭
 百七拾弐文

原文

 

解読文

一百文    札料賽銭        拾弐文
一八文    舩賃          夫より休處有夫にてのつと
一五拾六文  中食                      造酒代
        粕尾村        一八文
一八文    小遣          一六文  先祖代々□□あり
一弐拾文   鞋代                   買申候
 栗野方尾鏨山泊           一三拾六文  末社賽銭
   武藤壱岐守           鹿嶋明神
  直に大杦有夫ゟ行場あり      一七文
   夫にて行代として        一三文
                   一拾弐文 案内江山祝として
                   一四拾八文 是は向山余□ 案内賃

原文

 

解読文

一五拾六文    石裂山       一山役銭色々
          山役銭      一八拾四文   尾鏨山
一拾弐文     みくし       一三百文    落物
一拾弐文     賽銭           御佛江
一〃       〃         一九拾四文   札料
一〃         銭               新太夫様〃
一拾七文     山にて       一弐拾四文   中食
                           石裂山茶にて
          茶代        夫より古峯原
一弐拾文     鞋代        一三文     札料

原文

 

解読文

一三文
一拾弐文     造酒代       一四拾文   茶やにて休
一三拾弐文   古峯ケ原途中             餅四文宛
        休処あり       日光山
        くわし茶代      一七拾弐文  中食代
        壱盃四文宛            日光にて
一百四拾文    泊銭        一拾四文   案内賃
         古峯ケ原      一四拾八文  山役銭
 是より中禅寺            一拾弐文   守
一拾六文     札料        一〃     札料
一拾四文     賽銭        一三文    〃
                   一四拾八文  賽銭

原文

 

解読文

一拾弐文   茶やにて休       一弐拾壱文    □代
          小遣       一今市宿泊
一弐拾四文  鞋代          一百七拾弐文   細銭
一六拾□文  馬に乗申候       一弐十文     くわし
 土産物               一弐十文     小遣
一四朱三分  土産
一弐朱五分  〃           一弐十四文
一百八拾四文 草履
一百拾六文  〃           一五百文     巾着

原文

 

解読文

一百七拾六文  右同断         七月廿四日
一七拾弐文   中食          一百七拾弐文  宿賃
  宇都宮福嶋屋にて            真岡町かとや直七様
  池上町                 田町宮より入口
一弐拾四文   紙壱          一弐拾八文   造酒代
一拾八文    鞋代          小□木にて休
一三拾六文   乗嶋          一拾弐文    酒代
         渡賃         一八文     くわし
                    一六拾文    中食
                            宮後村

原文

 

解読文

一弐百拾弐文  手拭弐本           附落覚
一百五拾文   くわし        七月
        土産物        一拾弐文   尾鏨山
一弐拾四文   右同断               御拂賽銭
一四拾五文   □十五        一拾六文   出流山
一弐拾四文   □子弐本               羽黒石
                           名物買
                   一弐拾文   鞋代
                       五百
                   惣〆四貫八拾九文
                       銀六朱八分


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