原文
解読文
評定所面々江被 仰出候
御書付
一寛永以後御 代々被 仰出候評定所法式
評定衆之面々卯半刻より會合候而申ノ刻退出シ其日ニ
決し難き事候ハゝ翌日再言して猶又決断に
及ひ難き事は老中に申言上すへきよしに候
近年以来公事訴訟其数多成り来り候処ニ
評定之面々事に馴レ功を積ミ裁断之次第
滞所もなく候歟会合之間もなく退出候様に
読み方について
評定所面々へ仰せ出され候御書付
一 寛永以後御代々仰出され候評定所法式、評定衆の面々卯半刻より会合候にて、
申ノ刻退出し其の日に決し難き事候わば、翌日再言して、猶又決断に及び難き事は、
老中に申言上すべきよしに候
近年以来、公事訴訟其数多く成り来り候処に評定の面々、事に馴れ功を積み、
裁断の次第滞所もなく候か、会合の間もなく、退出候様に
原文
解読文
相聞へ候若毎時其大法に任て其道理を
盡スに及すして裁断に至り候ハゝ尤以不可然事ニ
被 思召候事
一評定所并諸奉行所において沙汰の次第有之
其證状を拠として道理の有所をは推シ尋ね
ずして其本旨を捨て枝葉の事をば穿鑿
候由風聞候證状之ごときハ其拠とすへき事
勿論ニ候といへともすへて 公儀の證にも引用為
へきものに大法にも背き候事はしるさしむ
読み方について
相聞こえ候、若し、毎時其の大法に任せて、其道理を盡すに及ばずして、
裁断に至り候わば、尤も以って、然るべからざる事に思召し候事
一 評定所并びに諸奉行所において、沙汰の次第これ有、其の證状を拠として、
道理の有る所をば推し尋ねずして、其の本旨を捨て枝葉の事をば穿鑿(せんさく)候由、
風聞候、證状のごときは、其の拠とすべき事勿論に候といへども、すべて公儀の證にも、
引用為べきものに、大法にも背き候事は、しるさしむ
原文
解読文
へからす又事の末なる所につきて其本旨を
知るへき事勿論に候といへ共枝葉の事を論
して多他事にわたらは其本旨を失ふ事あるへし
然らは必ス其證をも拠とし難く其末をも遂げ
難し然中論地等の事古来多ハ評定所
にて僉議之上を以て事決し候処に近年之例
御代官所に申付検使を以て裁断し候故に
不可然事共在之由相聞候すべて此等の類
諸事に付て其心得可有之事に被 仰候事
読み方について
べからず、又、事の末なる所につきて、其の本旨を知るべき事、勿論に候といへ共、
枝葉の事を論じて、他事にわたらば、其の本旨を失ふ事あるべし
然らば、必ず其の證をも拠とし難く、其の末をも遂げ難し、然中論地等の事、
古来多くは評定所にて僉議の上を以て事決し候処に、近年の例御代官所に申付け、
検使を以て裁断し候故に然るべからざる事共、これ在る由、相聞こえ候、
すべて此等の類諸事に付きて、其の心得、これ有るべき事に仰せられ候事。
原文
解読文
附り近年以来罪悪極重の輩をたすけ置
目明し口問ひなとゝ名付候て罪の疑ハしき
もの出来候時ハ奉行中彼輩に申付或ハ
探求め或糾明せしめ事の実否罪の有無を
決断在之由ニ候たとへ彼輩の申所其事を
あやまらす候といへ共奉行の面々此等之輩之力を借り用イ
候て天下之御政事を取沙汰候ハん事連々
以て不可然候況や又彼輩の申所或ハ遺恨に
より或ハ賄賂によりて事の躰引ちかへ
読み方について
附り、近年以来、罪悪極重の輩をたすけ置き目明し口問ひなどと名付け候て、
罪の疑わしきもの出来候時は、奉行中、彼の輩に申付け、或は探求め、
或は糾明せしめ、事の実否、罪の有無を決断これ在る由に候、
たとへ彼の輩の申す所、其の事をあやまらず候といへ共、奉行の面々、
此等の輩の力を借り用い候て、天下の御政事を取り沙汰候わん事、
連々以て然るべからざる候、況や又、彼の輩の申す所、或は遺恨により、
或は賄賂によりて事の躰引ちがえ
原文
解読文
理を非となるの類種々有之由風聞候よろしく
はやく彼輩の本罪を正し自今以後此等
不可然事共停廃あるへき事に被 思召候事
一評定所の法公事訴訟の事其筋の役人
問ひ難く有之候而一座之面々存至も候得ハ其
存寄候処を残さす申出すへき由に候処に近
年以来大法ハ詮議にも不及最初申出し候輩の
沙汰に任せ事を決し候様に相聞候若其事
実に有之候ハゝ評定の面々其人数多しと
読み方について
理を非となるの類、種々これ有る由風聞候、よろしくはやく彼の輩の本罪を正し、
自今以後此等然るべからざる事共、停廃あるべき事に思召され候事
一 評定所の法、公事訴訟の事、其の筋の役人問い難くこれ有り候にて、一座の面々、
存じ寄るも候得ば、其の存じ至り候処を、残さず申出すべき由に候処に、近年以来、
大法は僉議にも及ばず、最初申出し候輩の沙汰に任せ、事を決し候様に、相聞こえ候、
若し其の事実にこれ有り候はゞ、評定の面々、其の人数多しと
原文
解読文
いへとも壱人の沙汰に事決し候上ハ古より詮議と申
評定と申事ハ其本義を相失ひ候自今以後ハ
各々其心中を惣し詮議の上に評定し候様に
可仕旨ニ被 思召候事
一評定所の法遠國より訴へ来り候輩を其滞留之
日久しからす候やうに可有之由ニ候然ルに近
年以来評定所并諸奉行所において公事訴訟相決シ
難く年月を経候て滞留之輩有之由相聞候
軽賎の者共其家業を抛ち其在所を離れ
読み方について
いえども、壱人の沙汰に事決し候わば、古より僉議と申し、評定と申す事は、
其の本義を相失い候、自今以後は各々其の心中を惣し、
詮議の上に評定し候様に仕るべく旨ニ、思召され候事
一 評定所の法、遠國より訴え来り候輩を、其の滞留の日久しからず候やうに、
これ有るべき由に候、然るに近年以来、評定所并びに、諸奉行所において、
公事訴訟相決し難く、年月を経候わて、滞留の輩これ有る由、相聞こえ候
軽賎の者共、其の家業を抛(なげう)ち、其の在所を離れ
原文
解読文
滞留之日久しく候而してハたとへ其本意のことく相
済候とも其費用の失却すくなからす況ヤ又
申所かない難き者におゐては猶々迷惑ニ及ふ
へき事尤以不便の事ニ候自今以後ハ奉行の
面々此等之所をおもひめくらし沙汰の次第可
在之由に被 思召候事
附老中に申達し云上候事にハ再三思慮を
用ひ候故歟毎事遅滞の事共有之御尋
の旨在之時答申処其義相わかれさる
読み方について
滞留の日久しくしては、たとへ其の本意のごとく、相済候とも、其の費用の失却すくなからず、
況ヤ又申す所かない難き者においては、猶々迷惑に及ぶべき事、尤も以て、
不便の事に候、自今以後は奉行の面々、此等の所をおもいめぐらし沙汰の次第、
これ在るべき由に思召され候事
附り、老中に申し達し云上候事には、再三思慮を用い候故か、
毎事遅滞の事共これ有り(欠字)、御尋ねの旨、これ在る時答申す処、
其の義相わかれざる
原文
解読文
事も有之候すへて事の滞なく申所明らか
なる心得可在之由ニ被 思召候事
一凡公事訴訟の事或権勢の所縁在之輩
或ハ賄賂を用ひ候輩の類ハ其志を得候而其
望を達し候者とも有之由世上に申沙汰し候所
すてに年久しく候を以て御 代始の時御定
目にしるし出られ候得ん共といへとも舊弊今に相改
さるよし猶々其聞へ候若シ風聞之ことくに候にお
ゐては御政事のよりてやぶれ候処に候へハ此上
読み方について
事もこれ有り候、すべて事の滞りなく申す所、明らかなる心得これ在るべき由に、思召され候事
一 凡そ、公事訴訟の事、或は権勢の所縁これ在る輩、或は賄賂を用い候輩の類は、
其の志を得候にて、其の望を達し候者ともこれ有る由、世上に申し沙汰し候所、
すでに年久しく候を以て、御代始めの時、御定目にしるし出られ候といえども旧弊今に相改さるよし、
猶々其聞こえ候、若し風聞のごとくに候に、おいては、御政事のよりてやぶれ候処に候へば、此上
原文
解読文
其御沙汰に及はるへき事に奉行中の面々
其家中の輩はいふに及はす支配のもの共に
至る迠よろしく其戒め可在之事に被 思召
候事
附牢屋の役人といへとも種々の私法をたて
牢者の輩の賄賂をむさぼり候次第に相聞候
此等之事共奉行中ハ未タ承りも傳ず候故歟
制禁にも及ハす不可然事に候すへて如此の
事共急度厳禁有へき事
読み方について
其の御沙汰に及ばるべき事に、奉行中の面々其の家中の輩はいうに及ばず、
支配のもの共に至る迠、よろしく其の戒め、これ在るべき事に、思召され候事
附り、牢屋の役人といえども、種々の私法をたて牢者の輩の賄賂をむさぼり候次第に、相聞こえ候
此等の事共、奉行中は未だ承りも傳えず候故か制禁にも及ばず、
尤も以て然るべからざる事に候、すべて此の如き事共、急度厳禁有るべき事
原文
解読文
右条々よろしく承知せしむへく候諸奉行
所の事におゐては天下之御政事の出る所
候上ハ万事の理非ハ此所に相定る事共に候
然るに只今迠のことくに有之候而ハ其奉行の
越度と申はかりニ而ハ無之即御政事の明らか
ならすして人民の安からさる所に候間各其
心得を以て沙汰の次第可仕有之仕由被 仰出者也
正徳二辰年九月
評定所奉行中
遠国諸奉行所におゐても宜此旨
可准事
読み方について
右条々よろしく承知せしむべく候、諸奉行所の事においては、
天下の御政事の出る所候上は、万事の理非は此所に相定る事共に候
然るに、只今迠のごとくにこれ有り候にては、
其の奉行の越度と申すばかりにてはこれ無く、
即ち御政事の明らかならずして人民の安からざる所に候間、
各々其の心得を以て沙汰の次第、これ有るべく仕る由、仰出さる者也
正徳二辰年九月
評定所奉行中
遠国諸奉行所におゐても宜しく此旨准ずべき事
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